【飛行機について】飛行機の仕上げ~塗装、各種過酷な試験~

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 今回は飛行機の塗装、各種試験についてお話ししていきたいと思います。

 

最終組立を終えた飛行機は、塗装の工程に入ります。機体を美しく仕上げるために非常に大切な作業です。

最初に保護のための仮塗装をはがし、本体の塗装に入っていきます。塗装は巨大なゴンドラに乗って行われ、窓などの塗料が入ってはいけない部分にマスキングをしながら塗装を行います。エアバスA380の納入第1号機の時は、塗装に21日かかり、使用した塗料の量は2200リットルに及びました。

 

そうして塗装を終え、機体は完成します。

ですが、飛行機は航空当局の型式証明をもらわないと人を乗せて飛ぶことはできないので、様々な厳しい試験に合格しなければなりません。

 

 ここから様々な厳しい試験について、いくつか例を出してお話ししていきます。

 

今回は、主翼構造試験、疲労シミュレーション試験、水はね試験、寒冷地試験と高温地試験避難試験などの飛行機本体のテストについて詳しくお話ししていきます。

主翼構造試験】

主翼に極端な負荷をかけて耐久性を見る負荷テストなど、主翼に対する試験のことです。

 

疲労シミュレーション試験】

実機を用いて人工的に飛行を再現し機体が受ける負荷を測定するものです。2005年、ドイツでエアバスが4万7500回に及ぶシミュレーションを行いました。型式証明取得には5000回分のテストが要求されていますが、それよりもはるかに厳しい条件で試験を行ったことになります。

 

【水はね試験】

滑走路に人工的に水たまりを作り、その上を滑走する際にエンジンが水で故障しないかどうかを調べる試験です。

 

【寒冷地試験と高温地試験】

氷点下55度の寒冷地や40度の高温地でのエンジン始動できるかなどのテストや飛行テストなどを行います。

 

【避難試験】

客席をすべてエコノミー仕様にして853人の乗客と20人の乗務員という最大限の人数を収容して避難試験を実施します。エアバスの試験では、暗闇の中、半分の非常出口のみを使用したテストで全員が78秒で地上に避難することができました。

 

他にも飛行機が離陸する際に、どれくらい遅いスピードで離陸が可能なのかというテストや横風が非常に強い場合でも離陸することが可能かというテスト、離陸の際にエンジンが止まってしまった場合でも安全に離陸することができるのかというテストがあります。

 

本体のテストだけでなく、機内環境のテストも行われています。

従業員を何人か載せて何時間も飛行します。その時に空気の流れはどうか、乗り心地はどうかなどのテストを行います。

 

 このように各地で様々な試験などを繰り返し、型式証明を得ることができると飛行機が空で活躍することができます。

 

(太田)

 

〈出典〉

鈴木信二 田村正隆(2009) 史上最強カラー図解 プロが教える飛行機のすべてがわかる本 ナツメ社

ボーイング787“ドリームライナー”は空の旅をどう変える? (1/6)

https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1102/09/news005.html

A350 XWB、高温飛行試験を完了

https://flyteam.jp/news/article/36803

 

〈画像の出典〉

photoAC

https://www.photo-ac.com/main/detail/946478?title=%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E6%A9%9F&searchId=204944308#