【飛行機について】エンジンのコンプレッサー

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 今回はエンジンのコンプレッサーについて説明します。

エンジン全体の仕組みについては下記の記事をご覧ください。

【飛行機について】エンジン全体の仕組み - KAINと伊吹ゼミの航空宇宙産業ブログ

 

 コンプレッサーとは簡単に言うと、空気を圧縮する機械のことです。エンジンが吸い入れ空気をそのまま燃やしただけでは、飛行機の推進力得るのに十分な動力を発生させることはできません。空気を燃焼することによって得ることができるエネルギーは燃焼に使われる空気の量に比例することからまず燃焼に使われる空気の量を増やすことが必要となります。そこで決められた広さのエンジンの中に取り込まれた空気を圧縮して、エンジンに入る空気の量を増やします。エンジンの入り口でこの働きをするのがコンプレッサーで

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 コンプレッサーには遠心式と軸流式がありますエンジンによっては二つの方式を組み合わせたものもあります。

 

 遠心式はエンジンの中に吸入された空気はインペラー*1の中心部から入り高速回転をするインペラから遠心力を受けて振り回され運動のエネルギーつまり速度を与えられます。このインペラーで速度を与えられ高速となった空気はディフューザー*2で速度を落とされますが、その分だけ圧力が高められます。そし高圧となった空気マニフォールド*3を経由し、燃焼器に送られるという仕組みです

 

 軸流エンジンの中に吸入された空気コンプレッサーにある何列もの回転するブレード(羽根)通過させてコンプレッサーの真ん中にある方向に向かって平行を発生させます。そして、空気の速度が徐々に上がり、固定ブレード(羽根)が空気の速度を圧力に変え、高圧となった空気は燃焼器に送られるという仕組みです。

 

 このように、軸流式はインペラーを使っていないため1段の圧力比*4遠心式と比べると小さくなってしまいます。しかし、軸流式全体では各段の圧力比を掛け合わせるため遠心式よりはるかに高い圧力比を得ることができます

 
(邉見)

 

〈出典〉

航空実用事典

http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p217.html#01-03-01

ダイナミックコンプレッサ:遠心式コンプレッサと軸流コンプレッサー

https://www.atlascopco.com/ja-jp/compressors/wiki/compressed-air-articles/dynamic-compressors

「飛行機のしくみパーフェクト辞典」監修 東京大学院教授 鈴木真二

 

〈画像の出典〉

photo AC

https://www.photo-ac.com/main/detail/946478?title=%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E6%A9%9F&searchId=204944308

pixabay

https://pixabay.com/ja/photos/エンジン-ジェット-内部構造-71267/

*1:インペラー: 遠心力で吸入空気や液体などに回転エネルギーを与え、圧縮する羽根車。

*2:ディフューザー: 圧縮機の後方に位置し、圧縮機出口と燃焼室との間をつないでいるもの。

*3:マニフォールド: 内燃によって得た熱エネルギーを機械的仕事に変換させる装置の吸気もしくは排気を行う際などに用いられる部品。

*4:圧力比: コンプレッサーの入口の圧力に対する出口圧力。