【飛行機について】飛行機の電気系統の仕組み
今回は、航空機の電気系統の仕組みについて説明していきます。
航空機の電気は、機内の照明や、機内で動画や音楽、ゲームなどができるエンターテイメントシステム、トイレなど様々なところで必要となります。また、操縦に必要な計器類を動かすための電気も必要となります。
航空機の電気系統には直流と交流があります。
直流とは、電気が導線の中を流れるとき、その向きや大きさ(電流)、勢い(電圧)が変化しない電気の流れ方を言い、交流とは、電気の流れる向き、電流、電圧が周期的に変化している流れ方を言います。直流だと電圧は変化しないため、大きな電力が必要であれば電線を太くする必要があり、その分重くなってしまいます。一方で、交流であれば電圧を高くすることができるので、電線を太くする必要がないため、重くはなりません。そのため、大きな電力を消費する場合は、直流よりも交流を用いることが望ましいです。
大型ジェット機は消費電力が大きいため、主に交流の発電機が使用されます。交流発電機は大型ジェット機の主エンジンに装着されていて、ギアボックス *1を通じて動かされます。運航中、航空機の飛行の状態によってエンジンの推進力が調整され、それに応じてエンジンの回転数は変化します。そのため、発電機の入力回転数を一定にして通常、常に安定した400Hzの周波数をもつ交流電源を得ることが必要となります。そのために発電機の前段に、回転などの運動の速度を調整するための調速機という装置が装備されています。補助動力装置に装着されている交流発電機もあります。この交流発電機については、補助動力装置自体の回転数を調整して通常、400Hzの周波数を得ることができます。
運転する発電機を切り替えるときに、通常は電気が一瞬途切れてしまいます。しかし、航空機ではこの電気が途切れてしまうという現象を防ぐ必要があります。そのために、一方の電源を切り替える前に2つの発電機を瞬間的に並列に接続してから一方の電源を切る機能があります。このようにして、電子機器等の電源が一瞬途切れることによって作動中のリセットなどが発生することを防いでいます。
プロペラ機の場合は、直流式が一般的でエンジンに直接結びついている直流発電機から電力を得ています。そのため機体のさまざまなものを計測する機械や無線機に使用する交流は、インバーターと呼ばれる直流電流を交流電流に変える装置によって直流を交流に変換しています。
このように、飛行機には多くの発電機が備わっています。
〈出典〉
航空機の電気設備
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/35/8/35_561/_pdf/-char/en
航空実用事典
http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p139.html
直流、交流ってなんのこと?[関西電力]
https://www.kepco.co.jp/sp/energy_supply/energy/kids/science/topic05.html
ジェット輸送機電源システムの変遷-航空機国際共同開発促進基金
http://www.iadf.or.jp/document/pdf/30-1.pdf
発電機とバッテリーの関係
https://www.jal.com/ja/flight/trouble/boeing787/battery/dynamo.html
<画像の出典>
photo AC
https://www.photo-ac.com/main/detail/946478?title=%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E6%A9%9F&searchId=204944308
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