【航空宇宙産業について】横浜ゴム株式会社

 今回は、横浜ゴム株式会社(以下 横浜ゴム)を紹介します。

横浜ゴムは日本で数少ない航空機装備品メーカーTier 1に属しており、航空宇宙産業を代表する企業の一つです。

 

横浜ゴムのメイン事業は売上高の約80%を占めるタイヤ事業ですがタイヤ開発で培ってきた、接着や加工などの技術を活かして航空機部品、土木製品、海洋製品、工業用ホースなど、幅広い分野の製品を造りだしています。

また海外だけでも50を超える拠点を持ち、世界での存在感を高めているグローバルメーカーです。

 

1917年に「横浜護謨製造株式会社」を設立しました。

その頃から、技術力で先行する欧米諸国に対し自分たちの手で高品質なゴム製品を開発してみせる、という国産メーカーとしての誇りと挑戦者としての強い志を持っています。

横浜ゴムはゴムを扱っている印象がある事から、航空機とはなかなか結びつかないかもしれません。しかし、航空機部品にはゴムはとても重要な材料なのです。

例えば、航空機の化粧室ユニットや、宇宙ロケットにおける部品においても「横浜ゴム」の商品が使われています。

 

横浜ゴムB757*1B737*2の化粧室ユニットの主要メーカーで、B737用に4,000機(11,000台)以上、B757用には20年間で1,100機(4,000台)以上を生産しています。

 

他にも航空機向けを中心に飲料水タンク、軽量構造材*3などを開発しています。

そして、世界の民間航空機メーカーや防衛省などへ販売しています。

 

横浜ゴムの化粧室ユニットは、機体メーカーからの継続的な品質改善プログラムに基づいて設計しており、快適なスペースを確保しながらコストと重量の大幅削減を実現しています。

化粧室ユニットの軽量化をすることは、機体の燃費改善に繋がります。

 

また、横浜ゴムの化粧室ユニットは機体メーカー向けの基本設計に加え、エアライン向けのカスタムデザインや改修キットの提供も可能で、その化粧室ユニット本体とスペアパーツは米国連邦航空局(FAA)*4の認定を受けています。

 

近年は、航空機の内装のリフォームが増えており、他社と差別化を図りたい航空会社のニーズに応えるために新モデルも開発しています。

 

また、航空機用ウォータータンク(飲料水タンク)は、フィラメントワインディング法*5により製作しています。

 

1973年より航空機用軽量構造材の研究にも取組み、1980年世界最大の航空機メーカーであるボーイング社の認定を取得して、本格的な生産を開始しました。

横浜ゴムでは、ボーイング社の認定取得後も耐熱性の向上を目的として、エポキシ樹脂*6のみならず様々な樹脂を使用し、広範囲に開発を進めてきました。

 

なお日本国内材料が航空機用軽量構造材として認定された初の事例として、この認定試験当時の軽量構造材サンプルは、独立行政法人国立科学博物館により平成26年度に「重要科学技術史資料」に登録されています。

 

 このようなことから、横浜ゴムは航空機の製造を支えている企業だと言うことがわかりますね。

 

(渡部)

 

<出典>

横浜ゴム株式会社様平塚製造所工場見学へ

https://www.concur.co.jp/newsroom/article/yokohama-rubber-factory-tour

YOKOHAMAとは

https://www.y-yokohama.com/about_yokohama/philosophy/

米国連邦航空局(FAA)とは

https://www.weblio.jp/content/アメリカ連邦航空局

化粧室ユニットをアメリカン航空に供給

https://www.y-yokohama.com/release/?id=1073&lang=ja&sp=80&year=2009

ラバトリーモジュール

https://www.y-yokohama.com/product/mb/aerospace/labatorymodule/

フィラメントワインディング法とは

https://www.asahi-kasei.co.jp/aec-mkt/product/filament/index.html

エキポシ樹脂の性質

https://www.furmanite.co.jp/composite_repair_701.html

ビスフェノールAとは

https://jccu.coop/food-safety/qa/qa02_03.html

エピクロルドリンとは

https://www.kashima-chemical.com/epichlorohydrin/

*1:B757アメリカのボーイング社が開発・製造した中型の双発ジェット旅客機のこと。

*2:B737アメリカのボーイング社が開発・製造した小型ジェット旅客機のこと。

*3:軽量構造材:ガラス、ケブラー、カーボンなどの織物に樹脂をしみこませ、完全に硬化されていない状態のもの。特徴は耐熱・高強度・軽量であること。2つ以上の異なる材料を組み合わせた複合素材というものである。

*4:米国連邦航空局(FAA):アメリカ合衆国において、航空機材・空港などの監督を行う連邦政府の組織のこと。

*5:フィラメントワインディング法:樹脂をしみこませた炭素繊維やガラス繊維を、マンドレルと呼ばれる型に巻き付け、一定の形状に加工すること。

*6:エポキシ樹脂:プラスチックの原材料であるビスフェノールAと工業製品の原料として使用されているエピクロルドリンを混ぜてできる化合物のこと。