【飛行機について】飛行機の着陸装置について

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 今回は着陸装置についてお話したいと思います。

 着陸装置は飛行機についている脚と車輪のことを言います。着陸装置にはノーズランディングギアとメインランディングギアのふたつがあります。ノーズランディングギアは飛行機の前の方にあり、走行中の方向転換が主な役割です。メインランディングギアは地上走行時、飛行機の荷重の90%近くをささえています。これらのタイヤには駆動装置(エンジンの力を車輪に伝える装置)がついておらず、飛行機はエンジンの推力でしか進むことができません。また、飛行機はバック走行ができないため後ろに進むときはけん引車に引っ張ってもらいます。

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地上走行時の飛行機

 

 着陸装置は脚、ブレーキ、ホイール、タイヤで構成されています。

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着陸装置

 脚は鋼で出来ています。鋼は他の合金(合金=金属に少量の他の元素を混ぜたもの)と比べると重たいため飛行機にあまり使われていません。ですが、着陸装置の脚を鋼ではない他の素材で、着陸時の飛行機の重さに耐えるために作ると、とても太くなってしまいます。脚が太くなってしまうとその分、収納スペースを確保しなければいけなくなり機体の構造に支障をきたすため、脚には鋼が使われています。鋼の中でも「4340」と称されるユッケル、クロム、モリブデンという元素が配合された鋼が代表的で、強度が高いです。

 

 ホイールは車輪の中心でその周りにタイヤがついています。ブレーキはホイールの内側にあり外からは見えにくくなっています。ブレーキにはカーボン(炭素)が使われており、ホイールにはアルミニウム合金やマグネシウム合金が使われています。どちらも共に、軽くて丈夫な素材で出来ています。

 

 そして、タイヤ部分は特に丈夫に作られています。飛行機に使われているタイヤは自動車のタイヤととても似ていますが、飛行機に使われているタイヤの方が大きく、耐久性が非常に高く作られています。上空では-40度以下の気温にさらされることもあり、着陸の際は地面との摩擦熱(250度~400度)でタイヤの表面が熱くなります。このような過酷な使用条件と着陸時の大きな衝撃に耐えるために耐久性が高くないといけません。

 

 このように着陸装置は丈夫に作られており、飛行機の着陸時や地上にいる際に、飛行機を支えています。

 

(髙田)

 

〈出典〉

[監修]中村浩美 イラスト図解シリーズ「飛行機」

[監修]東京大学大学院教授 鈴木真二 「飛行機のしくみ パーフェクト辞典」

[著者]髙木雄一、小塚龍馬、松島丈弘、谷村康行 「トコトンやさしい航空工学の本」

[著者]飯野明 「これだけ!航空工学」

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航空機の技術とメカニズムの裏側(30) 降着装置(5)タイヤとブレーキを巡るあれこれ | マイナビニュース (mynavi.jp)

 

〈画像の出典〉

photo AC

 飛行機 - No: 946478|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK (photo-ac.com)

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