【航空宇宙産業について】世界の航空機産業の歴史
皆さん、人類が初めて空を飛んだのはいつなのか、知っていますか。この記事では人類が初めて空を飛んだ時点から現在までの世界の航空機産業の歴史についてお話していきます。
1903年、アメリカのライト兄弟がライトフライヤー号にて人類初の動力飛行を成し遂げました。ですが、ライト兄弟の航空機の操縦性は悪く、離着陸のための車輪もなかったためすぐに時代遅れとなりました。
初期の航空機の技術発展は主としてヨーロッパで進展しました。1907年〜1909 年にかけてエルロン*1による旋回手法が確立され、ほぼ現代と同じ操縦桿による操縦方法となりました。当初は木と布張りの翼で作られていましたが、1910年代に入るとドイツではジュラルミン*2を使用した金属製の航空機が作られるようになりました。
第一次大戦ではライト兄弟の初飛行からわずか10年ほどしか経っていないにも関わらず、空軍の主な戦力となりました。5年間に約250種類、20万機もの航空機が作られました。
第一次大戦後から第二次世界大戦までの間に高速化、長距離化、高さの高度化が進みました。そしてこの頃から飛行機は郵便輸送や旅客用など様々な目的で使われるようになりました。1927年にはアメリカのチャールズ・リンドバーグによる大西洋単独無着陸飛行も実現されました。この時期の技術的革新として代表的なものは引き込み脚と高揚力装置(フラップ*3 )の開発です。これにより航空機の高速化は一気に進み、時速 700 kmを超える機体も現れました。
プロペラ機の速度はこれ以上速くできないほどに速くなり、限界に到達し始めていったため、ジェットエンジンの開発が始まっていきました。1939 年、ドイツで作られたハインケルHe178には世界で初めてジェットエンジンが採用されました。
第二次世界大戦では航空機の重要性は決定的なものとなり、世界全体で50万機近くが作られ、機体もエンジンも急速に洗練され性能を高めていきました。航空機の大型化・高速化・機動性向上などのため改良が絶え間なく行われました。
第二次世界大戦を終え、20 世紀後半には航空機は大陸間の大量輸送を担う「交通機関」として活躍するようになりました。1970年代には定員 500 名を超えるジャンボジェット、ボーイング 747 やマッハ2 でパリ・ロンドンとニューヨークを結ぶコンコルドが就航し、多くの人が航空機を日常的に利用できる時代になりました。
近年は無人での自律飛行と航空機の電動化が目覚ましく進歩しています。無線を用いた近距離の無人航空機は以前からありましたが、衛星回線*4を使用することで200 km 以上の長距離を飛行することが可能なグローバルホークなどの無人航空機が1990年代末から登場しました。
また、バッテリーの技術革新が進んだことによりエンジンの電動化も進んでいます。2016 年にはスイスのソーラー・インパルスが世界で初めて太陽電池駆動による世界一周飛行を達成しました。
現在、航空機を完成させる企業として有名な企業はボーイングとエアバスです。
さて、ここまで世界の航空機産業の歴史についてお話してきました。航空機が最初に飛んでからまだ100年と少ししか経っていない、というのは驚いた人も多いのではないでしょうか。これを機に少しでも航空機産業に興味を持ってもらえると嬉しいです。
(森口)
<出典>
https://pub.nikkan.co.jp/uploads/book/pdf_file5a57231ac766d.pdf
平成30年度版 世界の航空宇宙産業
https://www.sjac.or.jp/common/pdf/sjac_gaiyo/info/sekai_H30.pdf
https://kotobank.jp/word/エルロン-447149
https://kotobank.jp/word/ジュラルミン-78334
世界大百科事典
https://kotobank.jp/word/ハインケル%20He178-1390458
https://kotobank.jp/word/戦間期-549516
航空実用事典
http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p118.html#02-02
スカパーJSATの衛星通信サービス
https://www.jsat.net/jp/satelliteservice/about.html
<画像の出典>
いらすとや
https://www.irasutoya.com/2013/10/blog-post_14.html?m=1
ボーイング747 PhotoAC
https://www.photo-ac.com/main/detail/261769?title=ボーイング747&searchId=238248095