【航空宇宙産業について】新明和工業株式会社
今回は、新明和工業株式会社(以下 新明和工業)を紹介します。
航空機を作っているメーカーとして、どこかで一度は聞いたことのある企業ではないでしょうか。
新明和工業は日本で数少ない航空機機体メーカーでTier1に属しており、航空宇宙産業を代表する企業の一つです。
この記事では、まず航空機の機体メーカーである新明和工業の事業内容について説明し、次に航空宇宙産業との関わり方について紹介します。
新明和工業の前身は、飛行艇や戦闘機「紫電改」の製造を得意としている川西航空機です。戦後に、民需転換を図る中で社名変更を行い、現社名になりました。
この飛行艇技術は、戦前から現代の航空機製造に設計や運用のノウハウを受け継いでいます。
新明和工業は、US-2をはじめとする航空機事業の他にも様々な事業をしており、中でもダンプやゴミ収集車などの製造をする特装車事業では国内トップシェアを誇るメーカーです。
また、地震に強いパーキングシステム、ごみ収集から資源化まで行う産業機械システム、下水道を中心とし水まわりの環境改善をする流体事業なども行っています。
どの事業も人々の暮らしや命に関わり、私たちの安心・安全を支えてくれています。
新明和工業では、「飛行艇」と「民間航空機」の2つの分野で航空宇宙産業に関わっています。
まず飛行艇と聞いてどんなものかイメージできますか?
【飛行艇】とは漢字から推測できる通りの、飛行機と船の特徴を持ち、陸上だけでなく海面にも着水できる飛行機のことです。
飛行艇は「陸・海・空」を繋ぐことを可能にしていますが、実際にどのように使われているのでしょう。
新明和工業が製造する「US-2」型救難飛行艇は、海難事故の救助活動を目的として海上自衛隊によって運用されています。
前身である「US-1」と合わせれば、今までに1000回以上もの出動回数を誇っており、救援活動に欠かせない航空機です。
US-2は離着水が可能なので、飛行場を持たない離島や、海難事故現場へいち早く到達できます。この強みを生かし、救助以外でも離島住民の都心部への輸送など、様々な活用法が期待されます。
(下記US-2写真)
次に民間航空機については、国産旅客機YS-11の開発経験をもとに、ボーイング767開発プロジェクトをはじめ、様々な民間機プロジェクトに参加しています。
技術と品質の高さを世界の航空機メーカーから評価され、その実績は約13,000社の中からボーイング・サプライヤー・オブ・ザ・イヤー「主要構造」部門で2年連続受賞するほどです。
飛行艇で培った技術から、ボーイング社をはじめとする航空機完成メーカーに向けた部品製造、供給まで事業領域を広げています。
現在は、ボーイング777向けに翼胴フェアリング(主翼と胴体結合部)を製造し、777XプログラムではボーイングのTier1(一次サプライヤー)として認められています。
このように新明和工業は、救難飛行艇や民間航空機向け部品など、社会へ貢献する製品を生み出し、世界中で活躍している企業です。
(川岸)
<出典>
新明和工業株式会社 HP
https://www.shinmaywa.co.jp/index.html
https://trafficnews.jp/post/87484
公益財団法人 航空機国際共同開発発足基金
http://www.iadf.or.jp/document/pdf/26-2.pdf
ボーイングと日本について
https://www.boeing.jp/ホーインク-シャハン/ホーインクと日本.page
ボーイングジャパンHP:サプライヤー・オブ・ザ・イヤー2013,2014
https://www.boeing.jp/ホーインク-シャハン/supplier-of-the-year.page
一般財団法人日本航空機開発境界(JADC) ボーイング777Xの開発に日本5社が参画
https://www.shinmaywa.co.jp/aircraft/news/pdf/p_news2014_0612.pdf
<画像の出典>
photo AC ボーイング777
https://www.photo-ac.com/main/detail/296520?title=飛行機 ボーイング777-200&searchId=232235185
海上自衛隊HP US-2
https://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/aircraft/kyunan/details/us-2.html