【飛行機について】飛行機の操縦系統のしくみ

 

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 今回は飛行機の操縦系統のしくみについて説明します。

 飛行機の操縦系統とは、飛行機をコントロールするためコックピット(操縦室)からの指示を実際の動きへと変えるシステムのことをいいます。

 飛行機は4つの力の絶妙なバランスで飛んでいます。その力とは、翼によって生まれる飛行機を上昇させる揚力、飛行機にかかる重力、エンジン等で生まれる飛行機を前進させる推力、飛行機が前進するのを妨げる抗力、の4つです。その中でも1番重要なのが揚力です。その揚力を得るために動翼(翼の動く部分)のフラップ、エレベーターを動かします。また、フラップとエレベーターで揚力を抑えることもでき、飛行機の上下の動きをコントロールします。

 左右の方向転換するためには動翼のエルロン、ラダーを動かします。

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主翼にある動翼

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尾翼にある動翼


 そして、これらの動翼を動かすために油圧システムが使われています。

 油圧システムとは、油を使って小さな力を大きな力に変えるシステムです。圧力が加わっても体積が変化しない油の特性を活かし、油圧ポンプの小さな力で押し出された油が、密閉した管の中を流れ、1つしかない出口へ流れこむことで大きな力を生み出します。

 油圧システムの原理を図で表すとこのようになります。

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油圧システムの原理

 図では、3N(ニュートン)という大きさの力を1㎡の面積に加えることで管の中に3Pa(パスカル)の圧力が働いています。その圧力が油を介することで、2㎡の面積にそのまま伝わります。すると、元々3Nだった力が6Nの力へと変化します。この油圧システムを使うことで大きな動翼を動かすことができます。

 

 このように、飛行機はコックピットからの指示を、油圧システムを使い動翼を動かすことで、機体の上下左右の動きへと変えています。

 

(髙田)

 

〈出典〉

[監修]中村浩美 イラスト図解シリーズ「飛行機」

[監修]東京大学大学院教授 鈴木真二 「飛行機のしくみ パーフェクト辞典」

[著者]髙木雄一、小塚龍馬、松島丈弘、谷村康行 「トコトンやさしい航空工学の本」

[監修]石田敦、木下浩、佐藤陽子「中1理科をひとつひとつわかりやすく。」

 

〈画像の出典〉

photo AC

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・4つ目は筆者作成