【航空宇宙産業について】政府専用機について
今回は、政府専用機について説明します。
日本においては政府専用機を2機保有しています。政府専用機は、この2機が同時に飛ぶことを原則としており、1号機に総理大臣らが搭乗します。そして、1号機が運航中に故障した場合などにすぐに乗り換えるための予備機として2号機があります。また、アメリカのエアフォースワンも2機を同時に運航させています。この政府専用機は、内閣総理大臣等の重要な地位にある人の外国訪問や、国際会議出席の際や、緊急時における海外にいる日本人等の輸送や国際緊急援助活動、国際平和協力活動などの際に利用されます。
政府専用機の運航を担当しているのは、航空自衛隊千歳基地に所在する特別航空輸送隊で、パイロットのみならず、機内サービスを行う客室乗務員などのスタッフも航空自衛官が行っています。また、実際に運航する際には、政府専用機の整備を担当している航空自衛官も同行しています。
政府専用機の機内は特別仕様であり、総理が乗り込むスペースに加えて、事務作業室や会議室、記者等のための座席もあります。
現在の政府専用機は2代目で、機種は「ボーイング777―300ER」です。この機種は平成31年4月から運用されています。初代の政府専用機の機種は「ボーイング747―400」で、約25年にわたって運用されていました。現在の政府専用機は初代の政府専用機よりも燃費等が向上し、最大航続距離が延びるなど、環境にも配慮した機体となっています。
(邉見)
<出典>
https://www.kantei.go.jp/jp/feature/gaikou/seifusenyouki.html
空飛ぶ官邸 その内部は | 特集記事 | NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/13803.html
<画像の出典>
【航空宇宙産業について】住友精密工業株式会社
こんにちは!!皆さんは住友精密工業株式会社を知っていますか??
この記事ではまずTier1に位置している航空機装備品メーカーである住友精密工業株式会社の基本的な情報についてまとめ、その後航空宇宙産業のどのように関わっているかについて紹介します。
住友精密工業株式会社は航空機用の降着装置*1・熱制御システムをはじめ、各種産業やエネルギー分野向けの熱交換機、油圧*2技術を駆使したポンプや制御システム*3、用排水処理・製造工程用のオゾン発生装置など、幅広い領域へと事業を展開しています。
住友精密工業株式会社は降着系統システム、熱制御システム、プロペラ、油空圧システムの様々な分野で開発・設計・製造を行っています。
降着系統システムでは設計・開発・製造の技術を培ってきており、国内航空機の開発プログラムのほとんどに参加しています。
熱制御システムでは航空機用ならびに航空エンジン用に、熱交換器を含む熱制御システムを供給できる世界有数のメーカーです。独自の技術を武器に、より高性能、小型軽量な熱制御製品の開発に常に取り組んでいます。
プロペラでは高品質のプロペラ・システムを半世紀以上にわたって製造しています。
このように住友精密工業株式会社は機体に必要不可欠な降着系統システム、熱制御システム、プロペラ、油空圧システムの様々な分野で開発・設計・製造を行い航空宇宙産業に携わっています。
(明石)
<出典>
住友精密工業株式会社 公式HP
https://www.spp.co.jp/business/aerospace/index.html
降着システム コトバンク ブリタニカ国際大百科事典https://kotobank.jp/word/%E9%99%8D%E7%9D%80%E8%A3%85%E7%BD%AE-62726
油圧 コトバンク 日本語大辞典
https://kotobank.jp/word/%E6%B2%B9%E5%9C%A7-650060
制御システム コトバンク 世界大百科事典 第2弾
https://kotobank.jp/word/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0-1178689
【航空宇宙産業について】プラット&ホイットニー
今回は「プラット&ホイットニー」を紹介します。
「プラット&ホイットニー」はアメリカのエンジン完成メーカーです。
「プラット&ホイットニー」は航空機エンジンおよび補助動力装置の設計や製造、サービスにおいて世界で代表的な企業です。「プラット&ホイットニー」の航空機エンジンは完成機メーカーであるエアバスやボーイングなどに供給され、何千もの航空機に搭載されています。また、軍用エンジンの製造も行い、世界中の34の軍隊で使用されています。
「プラット&ホイットニー」では品質管理システムであるAS9100という航空宇宙規格によって決められている要件を採用しています。航空宇宙産業において品質管理は非常に重要であり、AS9100には航空宇宙産業における安全性、耐空性、製品の適合性、信頼性が定められています。
補助動力装置とはエンジンを起動する際に使用される装置のことです。エンジンを静止状態から起動させるには補助的な動力が必要となるため補助動力装置が必要とされます。また、緊急時の代替として動力を生み出すためにも使用されます。「プラット&ホイットニー」では全電気式の補助動力装置の製造を業界で初めて行いました。
2020年12月18日には「プラット&ホイットニー」が供給するGTFエンジンが世界クラスで信頼率99.98%を達成したことを発表しました。GTFエンジンは約50の航空会社が採用する900機以上のエアバスA320neo、エアバスA220、エンブラエルE-ジェットE2に搭載されています。またGTFエンジンは三菱重工グループの「三菱航空機株式会社」が開発中であるリージョナルジェット旅客機Mitsubishi Space Jetに搭載され、現在、機体試験などに使われています。
このように「プラット&ホイットニー」は日本の企業とも関わり、世界規模で航空宇宙産業を支えています。
(藤井)
<出典>
Pratt & Whitney/Company/About Pratt & Whitney
https://prattwhitney.com/company/about-pratt-and-whitney
Pratt & Whitney/Products & Services/Products/Military Engines
https://prattwhitney.com/products-and-services/products/military-engines
Pratt & Whitney/Products & Services/Products/Commercial Engines/PW4000-112
https://prattwhitney.com/products-and-services/products/commercial-engines/pw4000-112
Pratt & Whitney/Products & Services/Products/Commercial Engines/PW4000-112/PW4000-112 ENGINE FACT SHEET
Pratt & Whitney/Products & Services/Products/Commercial Engines/Pratt & Whitney-GTF Engine
https://prattwhitney.com/products-and-services/products/commercial-engines/pratt-and-whitney-gtf
三菱重工/ニュース/ MITSUBISHI SPACEJET向けPRATT & WHITNEY GTF PW1200Gエンジンの国産完成品を初出荷 三菱重工航空エンジン、日本初の民間航空機用最終組立ラインから
https://www.mhi.com/jp/news/191113.html
Pratt & Whitney/Company/Quality/Quality System Certification
https://prattwhitney.com/company/quality
Pratt & Whitney/Products & Services/Products/Auxiliary Power Units/APS5000
https://www.pwc.ca/en/products-and-services/products/auxiliary-power-units
Pratt & Whitney/Newsroom/Dec 18,2020 Pratt & Whitney GTF™️ Engines Achieve World-Class Reliability
丸紅エアロスペース株式会社 製品紹介 エンジン・空調等 補助動力装置
https://www.marubeni-aerospace.co.jp/products/mechanical/apu.php
<画像の出典>
航空機の写真素材/航空機(列島宝物館)/日本航空・離陸中777-200(JA8983)
【航空宇宙産業について】株式会社IHI
こんにちは!!皆さんは株式会社IHIを知っていますか??
この記事ではまず航空機エンジンメーカー(Tier1)である株式会社IHIの基本的な情報についてまとめ、その後株式会社IHIが航空宇宙産業どのように関わっているのかについて紹介します。
株式会社IHIは総合重工業グループとして、資源・エネルギー、社会インフラ、産業機械、航空・宇宙の4つの事業分野を中心に新たな価値を提供しています。そして、ものづくり技術を中核とするエンジニアリング(工学に関する専門知識やスキル)力で世界的なエネルギー需要の増加、都市化と産業化、移動・輸送の効率化などの社会課題の解決に貢献しています。
株式会社IHIは主にエンジンの2つの分野で航空宇宙産業に携わっています。
1つ目は航空エンジンで防衛省が使用する航空機のほとんどのエンジンの生産を担っています。
2つ目はロケットシステム・宇宙利用で、ロケットエンジンの心臓部となるターボポンプ*1や、ガスジェット装置*2の開発、生産に取り組んでいます。
このように株式会社IHIは機体に必要不可欠なエンジンの分野で航空宇宙産業に携わっています。
(明石)
<出典>
株式会社IHI 公式HP
エンジニアとは
ターボポンプ
https://kotobank.jp/word/%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%97-1362790
【航空宇宙産業について】株式会社島津製作所
こんにちは!!皆さんは株式会社島津製作所(以下島津製作所)を知っていますか??
この記事ではまず航空機装備品メーカー(Tier1)である島津製作所の基本的な情報についてまとめ、その後島津製作所が航空宇宙産業にどのように関わっているのかについて紹介します。
島津製作所は精密機器、計測器、医療機器、航空機器の大きく分けて4つの分野で製品の開発、製造をする京都の企業です。創業から140年以上経った現在も、新エネルギー開発支援や、病気の超早期診断・新薬開発の支援など、最先端の科学技術で社会のニーズに応える事業を広げています。
島津製作所は航空搭載機械機器、航空搭載電子機器*1の大きく分けて2つの分野で航空宇宙産業に携わっています。
機械機器では空気調和システムやエンジンシステム始動システム用機器、降着システム用機器、フライトコントロールシステムなどの開発・製造を行っています。
電子機器ではヘッドアップディスプレイ*2や電子制御機器などの開発・製造を行っています。
ここでは降着システム用機器、フライトコントロールシステムについて紹介します。
降着システム用機器は航空機の降着システムで使用される油圧アクチュエータ*3で、機体の着陸・離陸時に車輪の脚を脚室から出し入れする時に、脚のポジションをコントロールするための機器です。島津製作所では、降着システムやその他の油圧系統で使用されるアクチュエータなどの油圧機器を開発・製造しています。
次にフライトコントロールシステムは、航空機の揚力や機体姿勢などを制御するための昇降舵などの操縦舵面をコントロールするシステムです。島津製作所では油圧モータを制御するバルブモジュール*4などの機器を開発・製造しています。
島津製作所は機械機器、電子機器といった様々な製品で航空宇宙産業に携わっています。
(明石)
<出典>
株式会社島津製作所 公式HP
https://www.shimadzu.co.jp/products/aero/jair-lst.html
https://job.mynavi.jp/21/pc/search/corp98918/outline.html
https://www.shimadzu.co.jp/products/aero/actuator.html
株式会社島津製作所 フライトコントロールシステムhttps://www.shimadzu.co.jp/products/aero/control.html
ヘッドアップディスプレイ
アクチュエータ コトバンク ブリタニカ国際大百科事典https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%BF-168266
バルブ コトバンク 世界大百科事典 第2版
https://kotobank.jp/word/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%96-117423
バルブモジュール
http://www.morigoseiki.co.jp/hydraulic/hydraulic_lv.html
電子機器https://wpedia.goo.ne.jp/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%A9%9F%E5%99%A8
【航空宇宙産業について】世界の航空機産業の歴史
皆さん、人類が初めて空を飛んだのはいつなのか、知っていますか。この記事では人類が初めて空を飛んだ時点から現在までの世界の航空機産業の歴史についてお話していきます。
1903年、アメリカのライト兄弟がライトフライヤー号にて人類初の動力飛行を成し遂げました。ですが、ライト兄弟の航空機の操縦性は悪く、離着陸のための車輪もなかったためすぐに時代遅れとなりました。
初期の航空機の技術発展は主としてヨーロッパで進展しました。1907年〜1909 年にかけてエルロン*1による旋回手法が確立され、ほぼ現代と同じ操縦桿による操縦方法となりました。当初は木と布張りの翼で作られていましたが、1910年代に入るとドイツではジュラルミン*2を使用した金属製の航空機が作られるようになりました。
第一次大戦ではライト兄弟の初飛行からわずか10年ほどしか経っていないにも関わらず、空軍の主な戦力となりました。5年間に約250種類、20万機もの航空機が作られました。
第一次大戦後から第二次世界大戦までの間に高速化、長距離化、高さの高度化が進みました。そしてこの頃から飛行機は郵便輸送や旅客用など様々な目的で使われるようになりました。1927年にはアメリカのチャールズ・リンドバーグによる大西洋単独無着陸飛行も実現されました。この時期の技術的革新として代表的なものは引き込み脚と高揚力装置(フラップ*3 )の開発です。これにより航空機の高速化は一気に進み、時速 700 kmを超える機体も現れました。
プロペラ機の速度はこれ以上速くできないほどに速くなり、限界に到達し始めていったため、ジェットエンジンの開発が始まっていきました。1939 年、ドイツで作られたハインケルHe178には世界で初めてジェットエンジンが採用されました。
第二次世界大戦では航空機の重要性は決定的なものとなり、世界全体で50万機近くが作られ、機体もエンジンも急速に洗練され性能を高めていきました。航空機の大型化・高速化・機動性向上などのため改良が絶え間なく行われました。
第二次世界大戦を終え、20 世紀後半には航空機は大陸間の大量輸送を担う「交通機関」として活躍するようになりました。1970年代には定員 500 名を超えるジャンボジェット、ボーイング 747 やマッハ2 でパリ・ロンドンとニューヨークを結ぶコンコルドが就航し、多くの人が航空機を日常的に利用できる時代になりました。
近年は無人での自律飛行と航空機の電動化が目覚ましく進歩しています。無線を用いた近距離の無人航空機は以前からありましたが、衛星回線*4を使用することで200 km 以上の長距離を飛行することが可能なグローバルホークなどの無人航空機が1990年代末から登場しました。
また、バッテリーの技術革新が進んだことによりエンジンの電動化も進んでいます。2016 年にはスイスのソーラー・インパルスが世界で初めて太陽電池駆動による世界一周飛行を達成しました。
現在、航空機を完成させる企業として有名な企業はボーイングとエアバスです。
さて、ここまで世界の航空機産業の歴史についてお話してきました。航空機が最初に飛んでからまだ100年と少ししか経っていない、というのは驚いた人も多いのではないでしょうか。これを機に少しでも航空機産業に興味を持ってもらえると嬉しいです。
(森口)
<出典>
https://pub.nikkan.co.jp/uploads/book/pdf_file5a57231ac766d.pdf
平成30年度版 世界の航空宇宙産業
https://www.sjac.or.jp/common/pdf/sjac_gaiyo/info/sekai_H30.pdf
https://kotobank.jp/word/エルロン-447149
https://kotobank.jp/word/ジュラルミン-78334
世界大百科事典
https://kotobank.jp/word/ハインケル%20He178-1390458
https://kotobank.jp/word/戦間期-549516
航空実用事典
http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p118.html#02-02
スカパーJSATの衛星通信サービス
https://www.jsat.net/jp/satelliteservice/about.html
<画像の出典>
いらすとや
https://www.irasutoya.com/2013/10/blog-post_14.html?m=1
ボーイング747 PhotoAC
https://www.photo-ac.com/main/detail/261769?title=ボーイング747&searchId=238248095
【 航空宇宙産業について】株式会社SUBARU
今回は株式会社SUBARUついて紹介します。
株式会社SUBARUは、1919年に中島飛行機製作所として設立されました。その後、中島飛行機株式会社に改称し、戦後には財閥解体により分解・再結成され、富士重工業株式会社になりました。
そして、2017年に自動車のブランド名として浸透していたSUBARUに由来する株式会社SUBARUに変更しました。
SUBARUブランドとして知られる自動車部門は、レヴォーグ、レガシィ、インプレッサ等多くの人気車種を取り扱っています。
航空宇宙分野では、多種多様な航空機の開発・生産に携わっている航空機機体メーカーであり、Tier1に位置しています。
民間機事業では、ボーイング767、777、787、そして777Xなどの国際共同開発に参加しています。ボーイング777Xでは、中央翼の開発・製造と、主脚*1を格納する部分・主脚ドア・翼胴の空気抵抗を減らすために装着するカバー部分を担当しています。
2020年1月に株式会社SUBARUはボーイング社に生産累計1000機目となるボーイング787の中央翼の出荷を達成しました。
小型機や無人航空機をはじめとする航空機のシステムインテグレーション*2分野では、防衛省や宇宙航空研究開発機構(JAXA)向けの様々な開発により高い技術力を身につけました。
このように、株式会社SUBARUは自動車メーカーとしてだけでなく航空宇宙産業においても活躍しています。
(兵地)
<出典>
「Airline2016/01」
https://www.subaru.co.jp/outline/business_aero.html
Webモーターマガジン
https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17330858
株式会社SUBARU沿革
https://www.subaru.co.jp/ir/library/pdf/fact/2018/enkaku.pdf
https://kotobank.jp/word/主脚-528057
システムインテグレーション