【飛行機について】飛行機が出来るまでの全体の流れ
今回は飛行機がどのようにできるのか、その全体の流れをお話ししていきます。
1つの飛行機ができるまでには数多くの企業が関わり、多くの時間がかかっています。何ヵ国もの国をまたいでそうして皆さんがよく目にする飛行機になっているのです。
今回は、航空機完成メーカーのエアバスという会社を例にとってお話していきます。
新しい航空機を開発するために、まずどのような飛行機が良いのか構想をします。今後大型機は必要か必要でないか、仮に必要だとしたら何人乗りぐらいで航続距離※①はどのくらいのものなのか、貨物の積載量※②はどのくらいがよいのだろうか……などの課題を議論するグループを作り、この飛行機の構想を具体化していきます。
これと同時に、エアバス本社にあるデザイン・オフィスでは、飛行機の設計・デザイン作業が進行しています。設計デザインにおいても何人乗りにするのかによって形状が変わってくるため、重心をどこに持ってくるか、エンジンの位置をどこにするのかでも変わってくるため、試行錯誤しながら作り上げていきます。
その後コンピューター上で仮想の模型(ヴァーチャル・モックアップ)が作られ、様々な試験やシミュレーションが行われます。コンピューター上だけでなく、実際の模型も制作し、風洞実験なども行われます。風洞実験とは、実際の機体の模型を設置し、そこに人工的に空気を流して、飛行機の周りの流れを再現することにより、空気力※③や圧力分布※④を計測し、機体周りの空気の流れの様子などを調べるための実験です。
実験などを経て航空会社から飛行機の注文が入ると、日本や世界各地の企業が飛行機の各パーツを作っていき、飛行機の心臓部と呼ばれるエンジンも別の場所で作られていきます。各パーツの製造については別の記事で詳しくお話しします。
そうしてできた飛行機の各パーツを前胴部、中胴部、後胴部、主翼、垂直尾翼、水平尾翼という6つの大型パーツに組み立てて、エアバスの本拠地であるフランスへと運びます。
そして、工場での最終組立で6つの大型パーツを1つにつなぎ合わせます。
最終組立を経て1つの新しい飛行機が誕生しますが、人を乗せて空を飛ぶにはさまざまな試験に合格する必要があります。
極寒の地から猛暑の地まで世界各地に送りこみ、様々な過酷な試験を繰り返し、ようやく人を乗せて空を飛ぶことができるようになります。
最後に、飛行機が出来るまでの流れを図に表すとこのようになります。
(太田)
〈出典〉
鈴木信二 田村正隆(2009) 史上最強カラー図解 プロが教える飛行機のすべてがわかる本 ナツメ社
東野和幸 (2018)きちんと知りたい!飛行機メカニズムの基礎知識 日刊工業新聞社
https://www.aero.jaxa.jp/facilities/windtunnel/
航続可能距離とは?電気自動車&ハイブリッド車の航続距離ランキングTOP5も!
https://car-moby.jp/article/car-life/useful-information/range-that-can-be-cruised/
圧力分布(あつりょくぷんぷ)|グーネット自動車用語集
https://www.goo-net.com/knowledge/05799/
積載量の意味
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%A9%8D%E8%BC%89%E9%87%8F/
〈画像の出典〉
photoAC
https://www.photo-ac.com/main/detail/946478?title=%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E6%A9%9F&searchId=204944308#