【航空宇宙産業について】株式会社ジャムコ

【ジャムコとは】

 今回は、株式会社ジャムコ(以下 ジャムコ)を紹介します。ジャムコは、航空機に関する4つの事業「航空機内装品製造」「航空機シート製造」「航空機器製造」「航空機整備」で活躍をしているTier 1装備品メーカーです。

この記事では、ジャムコの担う4つの事業について説明し、航空機産業のどの位置で活躍をしている企業であるかをぜひ皆さんに知っていただきたいと思います。

 

【航空機内装品製造事業について】

 ジャムコは、航空機用の「ラバトリー(化粧室)」と「ギャレー(厨房設備)」において世界でナンバーワンのシェアを誇っています。その他にも、客室内装備品の新規搭載などの航空機客室改修等も行っています。

 

新型コロナウイルスの影響はありますが、長い目で見ると世界の航空機事業は伸びていくことが予想されています。一方では世界のエアラインの競争は激しくなり、あらゆるコストの削減と他社とのサービスの差別化が求められています。航空機の客室のデザインやアレンジは、エアラインのサービス内容によって大きく異なってきますが、世界中のエアラインのこうしたニーズに的確に応え続けてきた点についてはジャムコの大きな強みです。

 

【航空機シート製造事業について】

 航空機シート製造事業はジャムコの新しい事業です。航空機シート分野は大手2社の寡占状態でした。しかし、ある企業の品質問題を機にジャムコが航空機シート分野へ参入することとなりました。

ビジネスクラスとファーストクラスは機内でも特別な空間です。そこで用いられる高級シートはまさにその主役ともいうべき存在ですから、各航空会社はそれぞれのブランドイメージを体現するため、シートへの要求条件を非常に高く設定しています。

航空機シートの製造を始めることで、航空機内装についてのことは全て制覇したジャムコ。今後はエアラインから一機丸ごとの内装改修を引き受けていくことも可能になることが予測できます。

 

 

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【航空機器製造事業について】

 ジャムコはジェットエンジン部品・炭素繊維*1構造部材などを製造し、高度な品質で安全を確かにする特殊工程技術を強みにしています。

 

ジャムコでは、2006年4月以来、NDT(非破壊検査*2)、WLD(溶接)、HT(熱処理)、Composites(複合材)、NM(レーザー加工)の5つの工程において、航空宇宙分野における特殊工程の世界的認証制度 Nadcapによる認証を取得しています。また、航空機器製造事業は、JIS Q 9100「品質マネジメントシステム-航空・宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」の認証を取得しています。(JISQ 9100はAS9100/EN9100と同等です。)JISやNadcapの他にも「炭素繊維複合材(CFRP)の連続成形製法」という特許も取得しています。

 

【航空機整備事業】

 ジャムコは、伊藤忠式N-62型機「イーグレット」の製造事業を手掛けた技術を継承し、60年以上の実績を誇る国内最大の独立系整備専門会社として幅広い活動をしています。

機体の整備の他にも、ホイール(車輪)やブレーキ等の装飾品の整備も行っています。件数としては世界最大級を誇り、アフターサービスまで手厚く手掛けています。

 

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 ジャムコについて少しでも理解が深まりましたか。世界で戦えるレベルの航空機メーカーが日本にあるとは、非常に誇らしいですね。

 

(加藤) 

 

<出典> 

ジャムコHPトップ

https://www.jamco.co.jp/ja/index.html

炭素繊維協会(炭素繊維の特長とその性質)

https://www.carbonfiber.gr.jp/material/feature.html

事業内容

https://www.jamco.co.jp/ja/business.html

航空機内装品について

https://www.jamco.co.jp/ja/business/kco.html

航空機シートについて

https://www.jamco.co.jp/ja/business/sd.html

航空機器製造について

https://www.jamco.co.jp/ja/business/jco.html

航空機整備について

https://www.jamco.co.jp/ja/business/aco.html

 

<画像の出典>

いらすとや

https://www.irasutoya.com/2016/10/blog-post_473.html

 いらすとや

https://www.irasutoya.com/2013/05/blog-post_4588.html

*1:炭素繊維:『「軽くて、強く、腐食しない」21世紀型の先端機能材料』と言われており、航空機だけでなく様々な分野で活用されている素材のこと。

*2:非破壊検査:航空機などの素材自体を分裂・破壊することなく超音波などを利用して不備がないかを見る検査方法のこと。